中学受験がつらい母親へ

なぜ母親だけが苦しくなるのか
中学受験が始まると、
「母親がつらい」
と感じる家庭は少なくありません。
子どもよりも
母親の方が疲れてしまう。
勉強のサポート
塾の送迎
成績への不安
毎日、気が休まらない。
中学受験は
子どもの受験ですが、
実際には
「母親の受験」
と言われることもあります。
なぜ中学受験では
母親がここまで苦しくなりやすいのでしょうか。
その背景には
いくつかの心理的な理由があります。
この記事では
・中学受験が母親にとってつらくなる理由
・心理学から見た母親心理
・受験期の親子関係
を整理します。
目次
1 中学受験で母親がつらくなる理由
2 「私の関わり方が悪いのでは」と感じてしまう心理
3 私自身もつらいと感じていた
4 中学受験がつらくなる心理学的理由
5 サンクコスト効果と受験
6 親の罪悪感と子どもへの影響
7 脳科学から見た受験ストレス
8 中学受験のあと後悔する母親もいる
1 中学受験で母親がつらくなる理由
中学受験は
家庭全体を巻き込む受験です。
塾の宿題
週テスト
模試
志望校対策
生活の中心が
受験になります。
特に母親は
・勉強の管理
・塾の送迎
・精神面のサポート
・家庭のスケジュール管理
など
多くの役割を担うことになります。
家庭によっては
父親よりも
母親の方が
受験に関わる時間が
圧倒的に多いこともあります。
そのため
子ども以上に
プレッシャーを感じる母親も
少なくありません。
さらに
「母親のサポートが受験を左右する」
と言われることも多く、
それが
母親の心理的負担をさらに大きくする
こともあります。
2「私の関わり方が悪いのでは」と感じてしまう心理
中学受験では
塾選び
勉強方法
受験校
多くの判断を
親が行います。
そのため
成績が伸びないと
「私の関わり方が悪いのでは」
と感じてしまうことがあります。
心理学では
ネガティブな結果が起きたとき
自分の責任だと感じてしまう傾向を
self-blame(自己責任帰属)
と呼びます。
研究では
self-blameが強いほど
不安や抑うつなどの
心理的ストレスが高まりやすいことが
報告されています
(Zandi ら, 2020)。
特に親は
子どもの問題や結果を
自分の責任として受け止めやすい存在です。
そのため
受験の結果や成績に対して
「私のせいではないか」
と感じてしまう母親も
少なくありません。
3 私自身もつらいと感じていた
私自身も
中学受験の期間は
つらいと感じることがありました。
長男が小学校5年生のとき、
毎日が本当に苦しく感じられる時期がありました。
塾の宿題が終わらず
親子で言い合いになることもありました。
勉強のことで
家の空気が重くなることもありました。
夕方になると
「今日は平和に終わるだろうか」
と考えてしまう日もありました。
そのとき私は
夫と長男にこう言いました。
「中学受験をやめてください。
こんなに辛い思いをしなくても
もっと毎日平和で幸せな生活ができるはずだから
もうやめにしてください。」
そう懇願したことがあります。
けれども
長男は首を縦に振りませんでした。
そのとき私は
中学受験というものが
子どもだけでなく
親の心も大きく揺さぶる経験
なのだと感じました。
4 中学受験がつらくなる心理学的理由
中学受験がつらく感じられる理由の一つは
「結果」
が強く意識されることです。
合格か
不合格か
という形で
はっきりと結果が出るからです。
心理学では
結果を知ったあとに
「あのときこうしていればよかった」
と感じやすくなる現象を
後知恵バイアス
と呼びます。
研究では
人は結果を知ると
過去の判断を
実際よりも厳しく評価する傾向があることが
示されています。
そのため
受験が終わったあと
「もっと良い塾があったのでは」
「もっと違う学校を受ければよかったのでは」
と感じてしまうことがあります。
5 サンクコスト効果と受験
もう一つ重要なのが
サンクコスト効果
です。
これは
すでに投資した時間やお金を
もったいなく感じるため
判断を変えにくくなる心理です。
たとえば
「ここまで塾に通ったのだから」
「ここまで頑張ってきたのだから」
という思いです。
研究では
過去の投資や後悔の経験が
意思決定を変えにくくする
心理要因になることが示されています
(Zeelenberg ら, 2015)。
中学受験では
長い時間とお金をかける家庭も多いため
この心理が
強く働きやすいと言われています。
6 親の罪悪感と子どもへの影響
心理学では
罪悪感を利用して
子どもを動かそうとする関わりを
guilt induction(罪悪感誘発)
と呼びます。
研究では
罪悪感を使った関わりが増えるほど
子どもの不安や抑うつなどの
内在化問題
が高まりやすいことが
報告されています。
受験期は
親も子どもも
大きなストレスを抱えます。
親が罪悪感を抱え続けると
親自身も疲れてしまい
親子関係にも影響が出ることがあります。
7 脳科学から見た受験ストレス
脳科学の研究では
強いストレスを感じると
脳の扁桃体が活発に働き、
不安や恐怖を
強く感じやすくなることが知られています。
受験のように
結果へのプレッシャーが強い状況では
親も子どもも
心理的ストレスを感じやすくなります。
そのため
中学受験の期間に
「つらい」
と感じる母親がいることは
決して珍しいことではありません。
8 中学受験のあと後悔する母親もいる
中学受験が終わったあと
「もっと違う受験をさせればよかった」
と感じる母親もいます。
そして中には
中学受験の結果を引きずり
立ち直れないと感じる母親もいます。
その心理については
こちらの記事で詳しく整理しています。
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ここまで読んで、
「頭では分かっているけど、
それでも気持ちがついてこない」
と感じた方もいるかもしれません。
それは、あなたの考え方が間違っているからではなく、
情報と感情が混ざったまま
動こうとしているだけかもしれません。
すぐに答えを出す場ではありませんが、
いまの状態を
一度言葉にして整理したい方には
受け取っていただけるものがあります。

成合弘恵(なりあいひろえ)
ヒロ・スマイルコーチング代表/中学受験ライフコーチ
NLP上級プロコーチ NLPマスタープラクティショナー 教育カウンセラー
明治大学文学部卒業 千葉在住 茨城出身
大手進学塾での中高受験指導(開成高,筑波大付属高多数)公立高校教諭,私立中高講師と渡り歩き,教育界での経験は29年以上。長男は東大卒,次男は慶大在学中。二人の息子の元中学受験ママ。学校現場では、主に教育相談、特別支援教育コーディネーターを担当。公立高校在職中からカウンセラーとコーチの資格を生かし、のべ2800回以上生徒にカウンセリング面談を実施。教育現場で対応した保護者はのべ2200名以上、教えた生徒のレベルは、最難関レベルから教育困難校まで幅広い。ママを笑顔にすることで子どもを笑顔にし、子どもたちが笑顔でいられる明るい世の中創りに貢献することがミッション。

