中学受験で自己肯定感を育てる親の関わり方|「頑張れ」より効く失敗体験の活かし方

中学受験で自己肯定感が育たない原因は「褒め方」にあります。脳科学・心理学の裏付けから、親がやめるべき関わりと今日からできる声かけを解説。


「ちゃんと褒めているのに、
うちの子、なぜか自信がなさそうで……」

中学受験期のママから、とてもよく聞く言葉です。

頑張っているのに「どうせムリ」と言う。
失敗すると極端に落ち込む。
または、挑戦そのものを避けるようになる。

それを見るたび、
「声かけが足りないのかな」
「もっと励ましたほうがいいのかな」
と悩んでしまいますよね。

でも実は、自己肯定感は
言葉の量よりも、体験の質によって育つことが、
心理学・教育心理学の研究から分かっています。

この記事では、

  • なぜ「頑張れ」「すごいね」だけでは足りないのか
  • 失敗体験が、どうやって「やればできる感覚」につながるのか
  • 中学受験期に、親が大切にしたい関わりの軸

を、現場経験と学術的知見の両面から整理します。


目次

  1. 褒めているのに自己肯定感が育たない理由
  2. 自己肯定感の土台は「体験」で育つ
  3. 失敗体験が学びにつながる脳の仕組み
  4. 結果だけを褒め続けることの落とし穴
  5. 教育現場で見えてきた、伸びる子の共通点
  6. 今日からできる自己肯定感を育てる声かけ
  7. ママの安心感が、子どもの挑戦を支える
  8. まとめ|自己肯定感は「関わり方」で変えられる

1.褒めているのに自己肯定感が育たない理由

多くのママは、子どもを否定しないように気をつけ、
結果が出たときにはしっかり褒めています。

それでも、

  • 失敗を極端に怖がる
  • 「どうせ自分なんて」と言う
  • 新しい問題に挑戦したがらない

そんな姿が見られることがあります。

これは、愛情不足でも、褒め方が下手だからでもありません。

心理学の視点で見ると、
「結果が出たときだけ価値が認められる」経験が重なると、
自己評価が不安定になりやすいことが分かっています。

つまり、

うまくいったときの自分=OK
失敗した自分=ダメ

という無意識の学習が起きてしまうのです。


2.自己肯定感の土台は「体験」で育つ

自己肯定感と深く関係する概念に
自己効力感(self-efficacy)があります。

これは、

「自分はやれば何とかできるかもしれない」

という感覚のことです。

心理学者バンデューラの研究では、
自己効力感を育てる要因として
「習得体験(自分でやりきった経験)」が最も強い
とされています。

重要なのは、

  • 完璧に成功したかどうか
    ではなく
  • 困難があっても、工夫しながら取り組んだか

というプロセスです。

この積み重ねが、
自己肯定感の安定した土台になります。


3.失敗体験が学びにつながる脳の仕組み

「失敗すると自信がなくなるのでは?」
と心配になるかもしれません。

しかし、脳科学の研究では、
失敗から学ぶプロセスそのものが、
自己調整や学習を支える仕組みを働かせることが示唆されています。

前頭前野は、

  • 自分の行動を振り返る
  • 次にどうするかを考える

といった自己調整に関わる領域です。

失敗後に、

  • どこが難しかったか
  • どう工夫できそうか

を考えることで、
この自己調整系が働きやすくなります。

「失敗体験が脳を直接鍛える」というより、
失敗から学ぶ経験の積み重ねが、
自己調整がうまく働く状態をつくる

と考えるほうが正確です。


4.結果だけを褒め続けることの落とし穴

心理学の研究では、
結果や能力だけを褒められ続けた子どもほど、

  • 失敗を避けようとする
  • 挑戦を控える
  • 評価に強く依存する

傾向があることが繰り返し確認されています。

これは、

できた自分=価値がある
できない自分=価値がない

という条件付きの自己評価が形成されるためです。

一方で、

  • どう考えたか
  • どこを工夫したか

といったプロセスに目を向けてもらった子どもは、
失敗しても立ち直りが早く、
学びを継続しやすいことが分かっています。


5.教育現場で見えてきた、伸びる子の共通点

教育現場で多くの子どもを見てきて感じるのは、
自己肯定感が安定している子ほど、

  • 失敗を一人で抱え込まない
  • 結果より過程を振り返る習慣がある

という共通点があることです。

成績の高低に関わらず、

「失敗しても、次にどうするか考えればいい」

そう感じられる子は、
結果として学力も安定しやすい傾向があります。

能力の差ではなく、
関わり方の差が、ここに表れます。


6.今日からできる自己肯定感を育てる声かけ

難しいことは必要ありません。
まずは、問いかけをひとつ変えてみてください。

  • 「結果どうだった?」
     →「どう頑張った?」
  • 「なんでできなかったの?」
     →「どこが難しかったと思う?」

努力や工夫を言葉にすることで、
体験が「学び」として整理されます。

それが、
「次はこうしてみよう」という前向きな視点につながります。


7.ママの安心感が、子どもの挑戦を支える

もう一つ大切なのが、
ママ自身の心の状態です。

脳科学の研究では、
心理的な安心感がある環境では、
過度な不安反応が抑えられ、
自己調整が働きやすくなることが示唆されています。

ママが心の中で、

失敗しても大丈夫
一緒に考えればいい

と思えていると、
その空気は子どもにも自然と伝わります。

安心できる環境こそが、
挑戦を支える土台になります。


8.まとめ|自己肯定感は「関わり方」で変えられる

  • 自己肯定感は、言葉より体験で育つ
  • 失敗から学ぶプロセスが、次の挑戦につながる
  • 親の声かけと安心感が、子どもの土台をつくる

まずは今日、
「どう頑張った?」
この一言から始めてみてください。

ママの関わり方が変わると、
子どもの見える世界も、少しずつ変わっていきます。


ここまで読んで、
「頭では分かっているけど、
それでも気持ちがついてこない」
と感じた方もいるかもしれません。

それは、あなたの考え方が間違っているからではなく、
情報と感情が混ざったまま
動こうとしているだけかもしれません。

すぐに答えを出す場ではありませんが、
いまの状態を
一度言葉にして整理したい方には
受け取っていただけるものがあります。

成合弘恵(なりあいひろえ)
ヒロ・スマイルコーチング代表/中学受験ライフコーチ
NLP上級プロコーチ NLPマスタープラクティショナー 教育カウンセラー
明治大学文学部卒業 千葉在住 茨城出身
大手進学塾での中高受験指導(開成高,筑波大付属高多数)公立高校教諭,私立中高講師と渡り歩き,教育界での経験は29年以上。長男は東大卒,次男は慶大在学中。二人の息子の元中学受験ママ。学校現場では、主に教育相談、特別支援教育コーディネーターを担当。公立高校在職中からカウンセラーとコーチの資格を生かし、のべ2800回以上生徒にカウンセリング面談を実施。教育現場で対応した保護者はのべ2200名以上、教えた生徒のレベルは、最難関レベルから教育困難校まで幅広い。ママを笑顔にすることで子どもを笑顔にし、子どもたちが笑顔でいられる明るい世の中創りに貢献することがミッション。

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